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Q&A

Q4.
本来のトリガーポイント注射とは?
A.

肩凝りや頭痛がひどく、ペインクリニックを受診し、筋筋膜性疼痛症候群の診断でトリガーポイント注射を受けていますが、効果がみられません。
インターネットで調べてみると、トリガーポイント注射は筋筋膜性疼痛症候群の治療法であると書かれていますが、何故効かないのでしょうか?

「トリガーポイント注射」という言葉の、本来の意味

トリガーポイント注射とは本来、筋筋膜性疼痛症候群の治療として、痛みの発生源であるトリガーポイントに局所麻酔剤を注射する方法です。

ところが・・・

わが国で筋筋膜性疼痛症候群という病名が知られていなかった1994年。 トリガーポイント注射という鎮痛方法が、
「圧痛点に局所麻酔剤あるいは局所麻酔剤を主剤とする薬剤を注射する手技」(圧痛点・・・指などで圧迫したときに強く痛みが出る点)
という定義のもとに、健康保険で認可されてしまいました。
この健康保険の適応となったトリガーポイント注射は、高額の「硬膜外ブロック」の件数を減らすために局所注射の代わりとして健康保険の適応を受けたもの。
よって、筋筋膜性疼痛症候群とは全く別物なのです。

間違った概念に基づく「トリガーポイント注射」の落とし穴

以上のような経緯でトリガーポイント注射は健康保険の適応を受けたので、当時の書物では筋筋膜性疼痛症候群の治療法として述べられていません。 特定の疾患の治療法としてでなく、神経ブロックと同様に鎮痛のための一手技として治療の項目に記載され、注射部位についても、「患者に痛みのいちばん強い部分を指先で示してもらい、施術者が同部を指で圧迫して策状硬結として触れる過敏点を確認する」 と述べられています。
これはつまり「患者に痛みの一番強い部位」を聞いてそこに注射する、ということで、ここにこの間違った概念に基づくトリガーポイント注射の落とし穴があるのです。

本当の「痛みの発生源」

患者さんが訴える痛みには、うずく痛み(安静痛)や体を動かした時の痛み(運動時)があり、これらの痛みを関連痛と呼びます。
関連痛は、筋病変(病的に変異した筋肉)の中に存在するトリガーポイントという部分から発生します。
ところが人の体とは不思議なもので、多くの場合痛みの発生源であるトリガーポイントは、患者さんが関連痛を感じる部分から離れた場所に存在するのです。

ということは・・・

「患者さんが指先で示す痛みが一番強い部位」は、患者さんが自覚している関連痛の場所になります。
治療として注射を行わなければならない痛みの発生源であるトリガーポイントの場所を、患者さん自身は気づいていないのです。
関連痛の場所に認められるのは一般的に「関連圧痛」という痛みであり、つまりこの痛みを感じる点は「痛みの発生源」ではないので、ここに行われる注射は「トリガーポイント注射とは呼べませんし、一時的な鎮痛効果が認められたとしても、筋病変を改善させる効果は望めません。
Q3.
椎間板ヘルニアに硬膜外ブロックが効かないのはなぜ?
A.

数年前から慢性の坐骨(ざこつ)神経痛があり、MRI検査を受け椎間板ヘルニアの診断を受けています。手術をするほどではないということで、整形外科で硬膜外ブロックを受けていましたが、最初の頃はよく効いていたのに、最近はだんだんと鎮痛期間(痛みの治まる期間)が短くなり、痛みの程度も強くなってきました。今回硬膜外ブロックを受けた時はほとんど鎮痛されなかったのですが、MRI検査の所見は以前と変わっていません。痛みがとれないなら手術をしましょうと言われましたが、どうしたらいいでしょうか。

椎間板ヘルニアでは、程度の大きい・小さいに関わらず、慢性の腰痛や腰下肢痛(医者の言う坐骨神経痛のこと)は起こりません。慢性の腰痛や腰下肢痛の原因は筋筋膜性疼痛症候群ですので、トリガーポイント治療により改善します。

椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛では、脱出した椎間板により圧迫された神経が炎症を起こして痛みを起こすと考えられ、炎症を抑えるステロイド剤を用いた硬膜外ブロックが治療として行なわれてきましたが、現在では、神経は圧迫されても炎症を起こして痛みの原因となることはないことが分かっています。

硬膜外ブロックで用いられたステロイド剤は、次のようにして痛みに作用すると考えられます。

・血液に吸収されたあと心臓に戻る
     ↓
・原因となっている筋病変(病的に変化した筋肉)に到達する
     ↓
・痛みに関与するプロスタグランディンという物質の産生が抑制される
     ↓
・筋筋膜痛の鎮痛が得られる

けれども、慢性化した筋筋膜痛ではこのプロスタグランディンが関与しない痛みに移行していくため、次第に効果がなくなってきます。筋筋膜性疼痛症候群では、筋拘縮という筋病変に基づいて痛みが起こりますが、ステロイド剤はこの筋病変を改善させる効果はありません。

しかし、悪化して硬膜外ブロックが効かなくなった坐骨神経痛でも、筋筋膜性疼痛症候群の治療法であるトリガーポイント治療により筋病変を改善させれば痛みが治まりますので、心配はいりません。

Q2.
腰痛に硬膜外ブロックが効かないのはなぜ?
A.

数年前からぎっくり腰をくり返しています。ペインクリニックで硬膜外ブロックという治療を受けていますが、最初の頃はよく効いていたのに、最近は段々痛みがとれる期間が短くなり、ぎっくり腰の程度も強くなってきました。今回ぎっくり腰を起こして硬膜外ブロックを受けた時はほとんど痛みがとれませんでした。MRI検査では特に異常がなく、他に治療法はないと言われて困っています。

  腰痛を繰り返したり、腰痛が慢性のものになってしまう原因は、そのほとんどが筋筋膜性疼痛症候群によるものであり、治療としてトリガーポイント治療が行われます。

ところが、このような腰痛に対して、ペインクリニックや整形外科では、一般に硬膜外ブロックが行なわれ、薬液には多くの場合、局所麻酔薬とともにステロイド剤が用いられます。
このステロイド剤では、痛みに関わるプロスタグランディンという物質の産生が抑制されることにより筋筋膜の痛みがとれます。
しかし、慢性化した筋筋膜痛ではこのプロスタグランディンが関わらない痛みに移行していくため、ステロイド剤を用いた硬膜外ブロックでは痛みがとれなくなります。

筋筋膜性疼痛症候群では、筋拘縮(きんこうしゅく)という、筋肉の病的な変化によって痛みが起こります。ところが、ステロイド剤にはこの変化を改善させる効果がないのです。よって、ステロイド剤を用いた治療を続けても、腰痛の再発をくり返し、徐々に悪化していくことになります。

しかし、悪化して硬膜外ブロックが効かなくなった腰痛でも、筋筋膜性疼痛症候群の治療法であるトリガーポイント治療により筋拘縮を改善させれば痛みがとれるので、心配はいりません。トリガーポイント治療をくり返し行ない筋拘縮の大部分が治療されれば、ぎっくり腰がくり返すこともなくなります。

Q1.
トリガーポイント注射(トリガーポイント・ブロック)と神経ブロックはどう違うのか?
A.

  トリガーポイント注射(トリガーポイント・ブロック)と神経ブロックは両者とも局所麻酔薬を用いますが、局所麻酔薬はナトリウム・チャンネル・ブロッカーと言い、神経線維の外側の神経膜に存在するナトリウム・チャンネルに作用してナトリウムの流入を阻止して、神経線維を通る電気的な刺激の伝導を遮断します。

これらに用いられる濃度の局所麻酔薬は、知覚神経と交感神経(自律神経)の神経線維に作用してその伝道を遮断し、痛み刺激の脊髄反射に伴う疼痛部位の血管収縮と筋の緊張(いわゆる痛みの悪循環)を改善することによって、鎮痛を図ろうとする治療法です。その点では、トリガーポイント注射(トリガーポイント・ブロック)と神経ブロックは共通した鎮痛効果をもたらします。

  しかし、トリガーポイント注射(トリガーポイント・ブロック)には、神経ブロックにはない別の側面があります。以前から、トリガーポイント注射(トリガーポイント・ブロック)において局所麻酔薬の代わりに薬物活性のない生理的食塩水を注射したり、注射はせずに単に針を刺入してトリガーポイントに刺激を加えるだけでも鎮痛効果がある、ということが分かっていました。これは、局所麻酔薬による刺激の遮断とは別の鎮痛機序が存在していることを現しています。

その後の研究で、トリガーポイントに針刺激を加えることによって、その局所では筋病変である筋拘縮を改善させる治癒反応(軸索反射)とそれに伴う鎮痛が、さらに中枢神経に伝えられた刺激は内因性鎮痛機構を介した鎮痛が、それぞれ発現することが分かってきました。特に注目されるのは、持続的な鎮痛を得るために必要な筋病変の改善は、局所麻酔薬の作用とは無関係であり、トリガーポイントに針刺激を加えることにより達成されるということです。

  トリガーポイントとは、そもそも筋拘縮部の血流低下に伴って蓄積した発痛物質によって過敏な状態になった知覚神経末端の受容器のことで、様々な痛み刺激が入力される部位であり、神経線維に作用する局所麻酔薬は作用しません。したがって、トリガーポイント注射(トリガーポイント・ブロック)の鎮痛効果をより効率的に引き出すためには、注射針の穿刺後、局所麻酔薬を注入する前に、針の先端をトリガーポイントに誘導して刺激を加えることが必要であると考えられます。

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